本章では青野照市九段と米長永世棋聖が研究を深め完成させた鷺宮定跡を
御紹介します 当時お二人が東京の中野区鷺宮に住んでいた事が定跡名の
由来となっています
「図1」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=27 ▲3八飛 まで
「図1」は前章の後手▽5四歩に対して▲6八金直(上)として▽6四歩に
▲3八飛と寄った所です この飛車寄りが鷺宮定跡の基本となります
先に▽6四歩で▲6八金直に▽5四歩 ▲3八飛でも同じ局面となります
「図1」から「図2」までの手順
▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 銀 ▲3一角 ▽6五歩 ▲7七桂
▽4四角 ▲3七桂 ▽7四歩 ▲3九飛
「図2」
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ 角v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・ ・ ・v銀v歩v歩|三
|v歩 ・v歩 ・v歩v角v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 桂 歩 銀 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=37 ▲3九飛 まで
「図1」から、まず▽4五歩と角交換を誘い▲3五歩と角頭を攻めて来る手を
外す策が有ります これがそれまで角頭を攻める手には有力とされていて
実際に居飛車側にとって厄介な手段だったのですが「図2」までの手順が
編み出されて先手優勢となりました 最後の▲3九飛が青野九段創案の新手で
9九の香に紐を付けて、次に▲6五桂を実現させる絶妙手なのです
「図1」から「図3」までの手順
▽4三銀 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀 ▽4五歩 ▲3三角成
▽同 桂 ▲3五銀 ▽2五桂 ▲3四歩 ▽3二飛 ▲3三角
▽2七角 ▲2八飛 ▽3六角成 ▲2六銀 ▽1二香 ▲1五角成
▽3四銀 ▲2五銀 ▽同 銀 ▲4四桂
「図3」
後手の持駒:銀 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・v香|二
| ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩v歩 桂 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v銀 馬|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v馬 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=49 ▲4四桂 まで
この鷺宮定跡の本線と言えるのが▽4三銀と角頭を守り、▲3五歩 ▽同歩
▲4六銀と先手が出た時に▽4五歩と反撃する手段なのです
しかしこの形では「図3」まで途中変化は有りますが先手優勢となります
「図1」から「図4」までの手順
▽6五歩 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽4三銀 ▲4六歩
▽3二飛 ▲4五歩 ▽4二角 ▲3二飛成 ▽同 銀 ▲4四歩
▽2八飛 ▲4三歩成 ▽同 銀 ▲1一角成 ▽2九飛成
「図4」
後手の持駒:桂 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 馬|一
| ・v玉v銀 ・v金v角 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・ ・v銀 ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 金 金 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・v龍 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 香 歩二
手数=44 ▽2九飛成 まで
「図1」では▽6五歩と突く手も有力で、この手に▲3五歩 ▽同歩 ▲4六銀と
攻めると▽4五歩 ▲3三角成 ▽同銀 ▲3五銀に▽6四角と打たれて先手不利と
なります この▽6四角を実現する為の▽6五歩と言う訳です
そこで▲3五歩 ▽同歩 ▲同飛と飛車で歩交換しますが 以下「図4」までの
局面は形勢不明でこれからの将棋です この▽6四角と打つ事が出来ると言う
それが実は後手側の対抗策の手掛かりなのです 以下は次章で解説致します