この章では後手の最強の対抗策と それに対する、ひねり飛車側の
駒組み例を御紹介する事にします
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀
▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲7六歩 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4二銀
▲7七桂 ▽8二飛 ▲7五歩 ▽4一玉 ▲8五歩 ▽6三銀
▲7六飛 ▽3四歩 ▲3九玉 ▽3一玉 ▲6八銀 ▽3三角
「図1」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二
| ・ ・v歩v銀v歩v歩v角v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七
| ・ 角 金 銀 ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=36 ▽3三角(22) まで
「図1」は▲7七桂に後手が▽8二飛と引いて自陣の整備を図った所です
後手の▽3二金と▽4二銀の形を”金美濃”と呼び 縦歩取りの章で
解説した陣形とは比べ物にならない好形です
「図1」から「図2」までの手順
▲6六歩 ▽2二玉 ▲6七銀 ▽7二金 ▲5六銀 ▽5四銀
▲9七角 ▽6三金
「図2」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
| ・ ・v歩v金v歩v歩v角v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四
| ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六
| 角 ・ 桂 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=44 ▽6三金(72) まで
「図2」まで進んで見ると後手陣が固く非常に好形のため なかなか攻めの
糸口が掴めない状態となります これこそが後手が▽3四歩を序盤で突かず
狙っていた 対ひねり飛車の理想形です
ここから▲6五歩と攻めても ▽同歩 ▲同銀に▽7七角成 ▲同飛
▽6五銀と二枚換えされ 後手の陣形がしっかりしているので無理筋です
この後手の布陣が優秀で ひねり飛車の勝率が悪かったために別の手法が
生み出されました
「図1」から「図3」までの手順
▲5六歩 ▽2二玉 ▲2八玉 ▽7二金 ▲5七銀 ▽4四歩
▲3六歩 ▽4五歩 ▲7九角 ▽5四銀 ▲4六歩 ▽同 歩
▲同 銀 ▽4五歩 ▲3七銀引 ▽6三金 ▲8六飛 ▽8三歩
▲5七角 ▽4三銀引 ▲9五歩 ▽同 歩 ▲9三歩 ▽同 香
▲9二歩 ▽同 飛 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8二歩
▲8三歩 ▽同 歩 ▲同飛成
「図3」
後手の持駒:歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
|v飛 ・ ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
|v香 龍v歩v金v歩v銀v角v歩 ・|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ 歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ ・ 桂 歩 角 ・ 銀 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=69 ▲同 飛成(84) まで
▲5六歩と、こちらの歩を突くのが後手の金美濃囲いに対して
指されるようになった有力な手段です
この形のポイントとしては まず玉を2八まで持って行く事です
3九のままですと 敵の角で王手に当たる可能性が有り危険だからです
そして銀を3七まで持って行った この形を”銀がさね美濃”と呼び
片美濃囲いに更に銀を縦に2枚重ねにした これも非常に固い陣形です
以下は狙い筋の一つですが 角を5七に転換して更に飛車を8筋に
そして薄くなった後手の右翼を狙い 見事に8筋から破りました
手順中の▲9五歩からの端攻めは 特に御記憶ください
▲9三歩を取らなければ▲9五香 その後の▲9二歩を取らなければ
▲9一歩成で 共に先手有利となります
このように次に成って と金が出来る場所に打つ歩を”垂れ歩”(たれふ)
と呼び、あらゆる場面で応用される重要な手筋です