石田流から別の狙いを持った戦型に発展して行く戦法第二弾として
升田幸三実力制第四代名人の創案になる”升田式石田流戦法”を解説します
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩
▲4八玉 ▽6二銀 ▲3八玉 ▽6四歩 ▲7六飛 ▽8八角成
▲同 銀 ▽2二銀 ▲7七桂 ▽4二玉 ▲2八玉 ▽3二玉
▲3八銀 ▽7二金 ▲7八金 ▽6三銀
「図1」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛v金 ・ ・ ・v玉v銀 ・|二
|v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角
手数=22 ▽6三銀(62) まで
早石田では後手の8手目▽6二銀に▲7四歩から超急戦の仕掛けに出ましたが
最善に応接されると悪く無いまでも 思ったほどの戦果も上がりませんでした
そこで仕掛けは見送り ▲3八玉と寄って美濃囲いを目指します
後手の▽6四歩は▲7四歩の防ぎです これで▲7四歩と来られても
▽同歩 ▲同飛に▽6三銀で7筋は受かります この局面を「図2」に
示しておきますので受けの形として御記憶ください
「図2」
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
|v歩 ・ ・v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ 飛v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩
手数=14 ▽6三銀 まで
▽6四歩に対して▲7六飛と飛車を浮きます これは後手に角交換の選択を
迫る手となります ▽8八角成とする手で▽6三銀などですと▲7七桂と跳ねて
9章「図1」の石田流本組を目指す事が出来ます つまり先手に
石田流の理想形を組ませない為には ここで角交換するしか無いのです
その後▽2二銀と上がったのは 次に▲3六飛と3四の歩を狙う手が有るので
その時に▽3三銀の受けを用意した手です 以下お互いに玉の整備をしますが
「図1」までの手順中でポイントとして 先手は▲7八金、後手は▽7二金と
金を玉と反対側に上がっている事です 序盤で大駒を交換している場合は
自陣に隙が出来ないようにするためです 後手側は更に7筋を強化すると言う
意味も有り この構えは石田流型の備えとして定番の形と言えます
さてこれで どちらも固い構えで手が無いように見えますが
ここで升田式石田流、狙いの一手が有ります それが「図3」
「図3」
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛v金 ・ ・ ・v玉v銀 ・|二
|v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 角 ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=23 ▲9六角打 まで
この▲9六角打です ここからは次章で